2013年3月21日木曜日
Movie: 天地明察 / 2013 #7 ★★★☆☆
今年7本目の映画です。
天地明察 (2012)
監督: 滝田洋二郎
脚本: 加藤正人、滝田洋二郎
原作: 冲方丁
出演者: 岡田准一、宮崎あおい 他
同名の原作 『天地明察』 (冲方丁著)が滝田洋二朗監督によって映画化された作品です。同監督は『おくりびと』でも有名ですね。
江戸時代の日本の正確な歴(カレンダー)を作るお話です。また主人公の歴を作る人、岡田准一演ずる安井算哲(後に渋川春海と改名するそうです)は歴の専門家というより数学が得意で天体が大好きな囲碁のプロだったという興味深い人物で、その生き方にとてもロマンを感じます。熱意と希望、そしてなにより人並み以上の探究心と努力。なんとも日本人の誇りと思える人物がいたものですね。
私は原作をまだ読んでないのですが、正直原作を見てからこの映画を見れば良かったと少し後悔しています。とても魅力的な人物と素晴らしい功績、それに歴史ノンフィクションと、いままで映画化とかされなかったのが不思議なくらいなです。
この映画の感想ですが、とても魅力的な人物と出来事を元にしているのにそこを活かしきれていない印象です。総合的には悪い映画ではないと思いますが、ちょっと長いかな。。。各エピソードが中途半端に長くなってしまっている感じで、まとまりにも欠けます。脚本がイマイチなのでしょうかね。でも、そのかわり時間をかけて各エピソードを映しているので、私のようにあまりこの時代の歴史的な知識がなかったりする人でも内容はとても分かりやすかったです。滝田洋二朗監督の『おくりびと』はまだ見たことが無いのですが、とてもいい作品と聞いているのでこの作品に対する期待度が高かったこともあるのでしょう。
もうひとつこの映画のしっくりこない点は演技です。特に主役と囲碁打つ坊主がなんか違和感があった(演技にしっくりこない)と思ったら、両方とも役者じゃなかった。あまり映画以外の日本の芸能には詳しくないので彼らについては知りませんでしたが、、、やっぱり映画は、特に主役や大事にな役回りはプロの役者、その中でもきちんと場数や経験がある役柄の幅がある人を選ぶのが大切かと思います。 別に岡田准一が悪い役者とは言っていません。とても二枚目で演技も上手かと思いますが、逆に二枚目・はつらつしすぎているのが、私の中にある安井算哲の学者的なイメージに合わないのかな。
宮崎あおいはやはりプロですね。この方のかわいらしくやわらかい表情と演技ははまる役を選ぶかもしれませんが、今回の作品のように歴史物の役柄が私はとても素敵で彼女の魅力をより引き立てると思います。とても好きな役者の一人です。
面白いなと思ったのが平助役のプロレスラー武藤敬司。セリフとかが多い訳ではないのですが中々いい味を出しているんですね。プロレスラーに詳しくないので見た後のそう知りましたが、知らないままであれば私の中では印象に残る役者さんでインプットされていました。
この時代、歴は朝廷が管理していたそうですが、それを変えるのはそうそう簡単ではなかったようです。朝廷に対して大和歴を完成させて挑むという過程や努力は感じ取られますが、やはり『歴』を作るには『時間』をかけなくては実証が出来ない。それも数年とかでなくて数十年っていう単位で。その長いスパンで変わっていく人間関係、気持ちの動きとかの描写は薄いです。
話がそれますが、この映画の内容をもっと凝縮してメリハリのある内容になれば、教育向けの映画にもなりそうですね。日本にはこんな凄い人もいたというのを、本で読むと地味な印象を受けるかもしれませんが、映画だと伝わりやすいかもしれません。
そういえば、中学生のころ学校主催で『おろしや国酔夢譚』(おろしやこくすいむたん, 1992)という映画を見に行きました。
わざわざ学年全員で映画館まで行って見にいったのはあの時が最初で最後でしたけど、その当時勉強嫌いでろくに本なども読まず、歴史など殆ど興味なしの私がこの映画の内容は鮮明に覚えているというのは、やはり映画マジックですね。若い頃見てよかった映画のひとつです。
今回の『天地明察』ですが、映画の作り自体には少々不満のあるものの、ストーリーはいいですし見て良かったと思います。勉強になりました。
おすすめ ★★★☆☆
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